薬局承継方法の種類
薬局承継の多くはこの2つの方法のいづれかに分類される
●事業譲渡 ●株式譲渡
薬局の売却や承継を考えるとき、「どの方法が最適か」「税金や手続きはどうなるのか」といった疑問が浮かびます。事業譲渡と株式譲渡の2つの方法を、薬局経営者の視点で徹底比較。あなたに最適な選択肢を、専門家の知見とともにご紹介します。
①事業譲渡 一部店舗の譲渡に最適。 特定の店舗や事業だけを譲渡する方法 複数店舗を運営している場合、特定の1店舗だけを譲渡したいときに適した方法です。 従業員や資産など、引き継ぐ項目を柔軟に選べるのも特徴です。
②株式譲渡 会社全体をスムーズに引き継ぐ。 会社全体の経営権を譲渡する方法。手間を最小限にしたい場合に最適です。 現金、負債、従業員など、会社に関するすべてが移転します。

事業譲渡
特徴(売り手目線)
• 対価の受け取り:法人(薬局を運営する会社)
• 税金:譲渡による利益は法人税の対象(他の事業利益と合算して課税)。
• 資産の移転:店舗の設備や在庫など、事業に関連する資産を個別に引き継ぎ。
• 債務の扱い:債務を引き継ぐ場合、債権者の同意が必要なケースも。
• 許認可:薬局の営業許可は引き継げないため、買い手が新規申請(数週間~数ヶ月程度)。
• 従業員:原則、退職手続き後に買い手が再雇用。従業員への丁寧な説明が重要。
• 手続きの負担:資産や契約の移転手続きは煩雑だが、引き継ぐ範囲を細かく調整可能。例:1店舗だけ譲渡し、他の店舗は継続経営したい場合に最適。
• コスト:登記や手続きの費用は主に買い手負担。売り手のコストは最小限。
• 競業避止義務:譲渡後、同じ地域で類似の薬局を開業できない制限が課される場合あり(例:3年間)。
メリット
• 一部の店舗だけ譲渡可能:複数店舗のうち、特定の店舗だけを譲渡できる。
• 柔軟な選択:引き継ぐ資産や従業員を調整でき、無形資産も対象に。
• 経営の一部を継続:他の店舗や事業を維持しながら、特定事業を切り離せる。
デメリット
• 手続きが複雑:資産や契約の個別移転、許認可の再申請など、手間と時間がかかる。
• 従業員への影響:退職・再雇用の手続きが必要で、事前の説明が不可欠。
• 契約のリスク:一部の契約(例:リース契約)が引き継げない場合がある。
特徴(売り手目線)
• 対価の受け取り:個人(株式を保有する経営者)。
• 税金:譲渡益に20.315%の税金(所得税・住民税)。退職金と組み合わせることで税負担を軽減可能。
• 資産・債務の移転:会社全体が移転するため、個別の手続きは不要。
• 許認可:薬局の営業許可は原則継続(代表者変更などの簡単な手続きで対応)。
• 従業員:雇用契約は継続。従業員への影響は最小限。
• 手続きの負担:株主変更や登記変更のみで済むため、迅速かつシンプル。例:手間をかけず、会社全体をスムーズに譲渡したい場合に最適。
• コスト:株式譲渡に関する登記費用などは主に買い手負担。売り手の負担はほぼなし。
メリット
• 手続きがシンプル:個別の資産移転や許認可の再申請が不要で、短期間で完了。
• 税務メリット:個人への対価受け取りで、退職金活用による節税が可能。
• 従業員への影響が少ない:雇用が継続するため、従業員の不安を軽減。
デメリット
• 会社全体の譲渡:特定店舗だけを切り離すことはできない。
• 経営権の完全移転:譲渡後は経営に関与できなくなる。
株式譲渡
あなたに最適な方法は?
事業譲渡は「一部の店舗だけを譲渡し、他の事業を続けたい」場合に、
株式譲渡は「手間を最小限に、会社全体をスッキリ引き継ぎたい」場合に適しています。
どちらを選ぶか迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。
あなたの想いと状況に寄り添い、最適な方法をご提案します。
薬局承継の手法についての注意点
地域に根付く薬局を未来につなぐには、専門知識が不可欠。個人間での安易な承継はリスクを伴います。
薬局専門の承継のプロとして、私たちがあなたの想いを守ります。